TS 1010は精密機械加工機で加工したポリカーボネイト板にナイロンフロックを静電植毛して作られます.静電植毛したフロックの先端だけがレコード盤に接触し,ナイロンフロック一本一本がそれぞれスプリングとなって,広い範囲でレコード盤を支えます.このためレコード盤の機械制動に効果があると考えられます.この防振効果を測定し,確認しました.
スピンドル部を一定の加速度で加振し,ターンテーブルシートの有無,そして従来のゴム製のターンテーブルシートとTS 1010を用いたときのレコード盤の加速度を測定してみました.図1は加振器に載せたレコードプレイヤーのプラッターです.

図1 加振器とプラッター

図2 加速度ピックアップの取付状況

図3 チャージアンプ
図2はレコード盤に取り付けた加速度ピックアップ,図3は加速度ピックアップの信号を増幅するチャージアンプです.この信号をオーディオプレシジョンのアナライザ(BANDPASS)で測定します.オーディオプレシジョンのスイープ信号で加振器を10.0mm/s2 で振動させ,プラッターを駆動します.

図4 測定結果
図4は測定結果です.W/0はターンテーブルシートが無い状態です.RUBBERは一般的なゴム製のターンテーブルシート,TS 1010は静電植毛ターンテーブルシートです.80~160Hzの範囲でTS 1010がゴム製のターンテーブルシートよりレコード盤が振動していないことが判ります.
次にレコード盤が振動することによる音波の放射を測定してみました.加振器の加速度は前の実験と同じ10.0mm/s2 です.図5は測定用マイクロホンの設置状況です.レコード盤面より,10mm離れたところに位置させました.

図5 測定用マイクロホンの設置状況
そして,マイクロホンの出力を直接オーディオプレシジョンのアナライザに入力しました.無響室測定ではないので,(BANDPASS)で測定しました.図6は測定結果です.

図6 測定結果
ゴム製のターンテーブルシートもTS 1010も60~160Hz の範囲でプラッターだけの時よりレコード盤から放射される音波は小さくなっていますが,ゴム製のターンテーブルシートとTS 1010の差は確認できません.一番下のカーブは測定環境の騒音のスペクトラムです.
まとめ:
ターンテーブルシートがあることによって,レコード盤の振動と振動による音波の放射が抑えられることが確認できました.80~160Hzの範囲でTS 1010はゴム製のターンテーブルシートよりレコード盤を振動させないことが確認できました.このことは,カートリッジを使ったレコード再生において,レコード盤への防振効果があり,音質の向上が見込めます.
プラッターに加えた振動から発生する音波についてはゴム製のターンテーブルシートとTS 1010の差が無かったことが確認できました.この音波は100~20kHzまでの広い周波数帯域で確認できたことから,今後この原因について調べる必要があります.
